A Nomad in Abu Dhabi

UAE首都アブダビ在住 コーヒーを愛しカフェを探し歩くノマド

Go Nuts

“Go Nuts”

好きな英語の言い回しのひとつ。

 

これを聞くと、飢餓直前のリスが見つけたドングリに興奮状態で飛び付くような、食べ物にくらいつく、という様子を連想するから。

純粋にサウンドもかわいい。ゴーナッツ!

アゲアゲなテンションで言うと、さらにいい。

 

実際には、食べ物に対して「どーぞ(食べていいよ)」という意味だったり、

ムカつくことがあってGo nutsしそうだったんだ(drive me crazyと同じような感じで)きがふれちゃいそうだったんだ、おかしくなりそうだったんだ、みたいな文脈で使われているのを聞いたことがある。

でも、やっぱり私が好きな使い方は、リスのドングリ食べるやつ。

 

で、アブダビにきてから、文字通り、ゴーナッツ!しているのが、

よりどりみどりのナッツたち。

中東はナッツで有名とは知っていたが、その価格帯の低さ(特に日本と比較すると)とクオリティの高さにびっくり!

今まではご縁があまりないナッツだったが、アブダビに住んでしばらくした今ではすっかりキッチンの常備品に。

塩なしロースト、生のまま、色々まぜたミックス、香辛料かけちゃった版…

香辛料の市場のように、色んなバリエーションでスーパーでも専門店でも売っているから、ついつい買ってしまう…おいしい。

塩とかなくても、ナッツって甘みとかあるんだな。

リスってこんな感じなんだろうな。

と、リスの気持ちに想いを馳せてみる。

 

そんな興奮冷めやらぬまま、先日、一時帰国した時のお土産は、もちろんナッツ。

友人や家族のその反応といったら。

「おお、ナッツ。あ、ありがとね。」

なんとリアクションしていいかわからず、とりあえず感謝しておくあれです。

 

大量生産されたギラギラしたラクダの模型や、多分あげても食べないであろうデーツではなく、私が心からオススメするナッツを買ってきたのに、なぜ。

 

そして気づいた。

日本には美味しいものが溢れかえりすぎている!!

ちょっと歩けばすぐコンビニ。コンビニでも、低価格で、でも美味しいスイーツが年がら年中、24時間手に入る。

スイーツ専門店に行けば、もうほっぺた落ちるようなおいしいスイーツが所狭しと並ぶ。そしてスイーツ専門店の種類・数の多いことよ。

 

日本ではその美味しさへの追求も止まることを知らない。美味しいものができたからといってそれでは満足しない。

研究に研究を重ね、次から次へと新製品を世の中に打ち出していく「美味しいものへの執着ループ」のサイクルは果てしなく続く。

 

日本の、日本人の、食べること、そして食べ物への果てしない心意気、志、そして執拗なまでの全神経の入れ込みよう、執着。

それらは私が日本人として心から誇りに思っていることであり、勿論これからもそうでありたい、そうであってほしいと思っている部分である。

逆に日本人から食への執着を取り除いたら、もはやそれは日本人ではないのではないかと思えるほど。美味しいものへの執着は、日本人のアイデンティティ形成の一部となっていると信じている。

 

しかし、アブダビに住んでしばらくすると、サッと食べたいものが手に入らない状態が続く。

同じ牛肉、いや同じ和牛であっても、慣れ親しんだ日本で食べる和牛とはもう味が違うのである。どちらが美味しいとかいう話ではない。日本の日本で食べる和牛ではないという話。

きっとここで料理上手な奥様ならば、自分で日本であったものを再現できるのだとは思うが、それでも原材料が違うから、限界がある。

そして特に料理が得意なわけでもない私のような人間からすると、もう再現なんて努力には至らず、日本で食べていたのとは全く別の料理を作り出す。

こちらで真っ当な値段で手に入る食材で(アブダビでは日本食材は日本のほぼ2〜3倍の値段がするので)手を打とう、となり、となると、もうそれはもちろん日本料理ではなくなる。イタリアンもどき、欧米料理もどき、アラビアンもどき?の、新しい世界。

 

新しい世界を普段は割と楽しめている(多分)であろう旦那・息子、そして一番食にうるさい私自身でも、やはり疲れたとき、ふとしたときに蘇る故郷の味には、やはりかえられない何かがある。

 

そうなっても、手に入らないものは手に入らないのだ。そこで、妥協する。かといって、下手に韓国カップラーメンやハーゲンダッツアイスクリームに手を出さない。

そんなときこそ、ナッツを食べるのだ。

昔むかしに、私の祖先の人類が発見し、貴重な生きる糧として食べ味わった食べ物なのだ、と歴史を噛み締めながら食べると、その硬さが食べているという感覚を最大限に脳へシグナルし、香ばしさが嗅覚を刺激し、舌に残るほのかな甘みがなんとなく満足感へと変化していく。

 

 

そう、アブダビでナッツは、私個人の中で、異様に崇拝された食べ物になってしまっていたのだ。

逆に私が友人の立場であったら、お土産にナッツをもらったら同じような反応をするかもしれない。なんでナッツ?美味しいからいいけど…となるかもしれない、いや、なるはずだ。

 

I guess I went nuts on nuts.